【出展者インタビュー】ターゲットを明確にしたキャッチで自分で集客することが大事
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「ウーマンエンパワー賛同企業」事務局では、賛同企業様の施策の参考になればという想いで、様々な企業事例や専門家の取材記事を掲載しています。
今回は、NPO法人ファザーリング・ジャパン/男の100年ライフプロジェクトのリーダーでもある、ハピネスマイル合同会社代表の尾形和昭氏に、働き方改革の失敗事例と進め方ポイントを伺いました。
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■尾形 和昭氏 プロフィール
広島県三原市出⾝。ハピネスマイル合同会社 代表
NPO法⼈ファザーリング・ジャパン 賛助会員
男の100 年ライフプロジェクト リーダー
イクボスプロジェクト、パートナーシッププロジェクト
イクボス企業同盟 事務局メンバー
NPO法⼈コヂカラ・ニッポン 賛助会員
⼩学校PTA 副会⻑、江⼾川区平井⼩松川地区⻘少年委員会 委員
家族構成:妻、”レインボー(2児の)パパ” (8歳娘/5歳息⼦)
1993 年、旧)住友⾦属⼯業に⼊社。IT 部⾨で開発、営業等、数多くの仕事に携わる。
2008 年、第⼀⼦が⽣まれたときは「ワーク・ライフ・バランス」については半ば理解していたが、常時の⻑時間労働、時には帰宅が24 時越えの⻑時間労働や休⽇出勤・出張を続けていた。
そんな中、働きがい調査などの担当につき、働きがいのある職場について研究。
パートナーの第⼆⼦の妊娠により「男性が育児参画」していくことが必須であることを実感し、⾃ら、職場・グループ会社での働き⽅改⾰を実践してきた。
1800 名のトップの経験や体験談を踏まえ、働き⽅改⾰を世の中に広めていくため、2016 年8 ⽉末に退職し、同10 ⽉にハピネスマイル合同会社を設⽴。「ワーク・ライフ・シナジー」「働き⽅改⾰」の重要性を、多くのパパ・ママに伝えるために、企業や、労働組合、⾃治体などを中⼼に講演活動をしている。
Q. この10年以上働き方、働きがいに関わっているそうですが、
ワーク・ライフ・バランスや働き方改革はどう変わってきていますか?
もともとはIT企業の労働組合の役員をやっていました。私自身も会社に処遇の改善を求める中で「働きがいを高めなければ、成果が出ない」ということも感じていました。
06年頃の当時、進んでいる会社は成果主義が導入されていましたが、間違った成果主義になっている事例も多く、賃金と目標管理制度の在り方を考えさせられていました。
IT企業は長時間労働が当たり前だったし、業績を出すことと労働時間をどう折り合いをつけていくか悩んでいる頃にワーク・ライフ・バランスという考え方に出会いました。
その頃はワーク・ライフ・バランスという言葉は「仕事をないがしろにするということ?」なんていう誤解もありましたし、政府も「まずは、会社と従業員で話し合うべき」という認識で重点施策はありませんでした。
今は言葉としても「仕事と生活の調和」という認識がだいぶ進んできましたし、近年は有識者が「少子化を止められる秘策は長時間労働是正だ」と言い続けてきた結果、ようやく政府にも「働き方改革・長時間労働の是正を早急に実施しなければ、少子化を食い止められない」と理解され、やっと国策(上限規制の法制化など)に繋がってきたという認識です。
Q. 尾形さんが接している企業に多い悩みとは何でしょうか?
今、私が関わっているのがイクボス同盟加盟会社が中心で、大手企業が多く、業種は金融、メーカー、流通など本当に様々です。
私は、働き方改革、女性活躍、ダイバーシティ&インクルージョンなど、すべて根っこは一緒と思っています。考える手段の1つとして「長時間労働の是正」があります。
進んでいる企業はしっかり定点調査もして施策を打っていますが、多くの企業が「どうしたらいいんだろう?どこまでやったらいいのだろう?」とまだまだスタートを切ったばかりで、課題感をもっていますね。
企業の大小ではなく、トップの決断1つだなと感じています。まだまだ多くの企業はこれから、といった状況です。
ただ大手も中小も、人材のパイが減っている中で出来るだけ優秀な人材を採用していきたい。
ここ数年前から、景気が上向きになったとたん人材が採りにくくなっています。また、介護離職等も増えているなかで、人材不足が実質的な経営課題になってきている印象はあります。さらに中小にとっては、大手に比べて、採用・離職に関しては、会社の存続問題に直結する可能性のある影響度の高い話ですね。
Q. 働き方改革導入の多い失敗事例はありますか?
先に制度をつくることにすぐ走ってしまうのは失敗のもとです。
社内にいる仲間がどう考えているのか把握していないで、いっそく飛びに制度に走っては誤った判断につながることは多いです。
困っている人の声だけとりあげると、制度は立派な制度が導入されるのですが、実際は使える空気じゃないので、使われないなど、形骸化した制度になってしまうこともあります。また、対象外や既に対象ではない人たちから「私たちの時代はなかったのにそんなの本当に必要なの?」「自分は恩恵が受けられないのに」などと不満が出たりします。
Q. では、働き方改革導入のポイントは何でしょうか?
1つ目に、「説明のおろし方」。
2つ目に「自社人財の意識と業務実態調査」だと思います。
誰のためにある制度なの?という原点に立ち返ると、制約の出る社員に、その障害を取り除いたり緩和してあげることで、継続して働き続けて欲しいからですよね。
辞められてしまうとしわ寄せが来るのは残った社員。そして今は制約がない人もいつかは通る道かもしれない。過去は変えられないけど、世の中の状況はこれだけ変わってきているんだから、これからは困っている人を救っていくことがあなたたちのためでもありますよね、という社内説明をしっかりする必要があります。
また、育児だけではなく、病気になるリスクや介護を担うリスクは誰にでもあります。そのときに誰が助けてくれるのでしょうか?他でもない、職場の仲間達ですよね。お互い様意識を持つことが大事なのだと、伝えていかなければギスギスした職場になってしますし、お互い様意識をもってもらうおろし方がないと反発が増え、スムーズにいきにくいのです。
もちろん、対象の本人たちにも制度については、単なる既得権益に受け取られないためにも、足りないところは制度で補うから、出来る限り働き続けて、戻ったときには成果を出し続けてもらいたいという姿勢をきちんとお話したほうがよいですね。
一番NGなのは、「国に言われたから」「グループの方針だから」というようなおろし方です。世の中や自社の事情、対象内外の人のメリットについてきちんと説明しましょう。
また、自社はどういう年齢なり人員のバランスなのか、親の歳や介護リスクはどのくらいの割合の人材が抱えているのか、など、しっかり把握しなければなりません。
介護休業とっている人は少ないし、リスクある人材は少ないだろう、などと安易に思い込むのは間違いです。
あわせて、どういう業務をしているのか?
意外と個々人で作業をブラックボックス化してしまっていたり、属人化された仕事が多い場合もあります。そこをチーム協働できる仕組みにしていくことで、お互いが休める体制ができていきます。
リーダーが強すぎ?情報共有がうまくいっていない?など、どういう課題があるのか、部署ごとに問題やタスクを洗い出したり、改善を話し合うなど、小さく始めて自社の成功事例を構築することが大事です。
こういった改善なしに定時だから「早く帰れ」「残業するな」と言う目覚まし時計上司はだめです。
どの優先順位が高い、これは後回し、これは廃止しよう、など上司は業務の取捨選択をサポートしてあげたほうがよいです。
部下から「こういうやり方するとこうなのでこれでどうでしょうか?」と選択肢がいくつか上司に相談してもらえるような自主性が出ると理想ですが、普段仕事を任せられていない部下はいきなり判断を求められても困るわけです。
「最終成果はこれで、やり方は任せるよ、なんかあったら責任とるから」という任せ方など普段からのスタンスも重要ですね。俺がやったほうが早いなどと考えたり、細かいダメ出しをしていると部下は育ちません。部下育ては子育てと一緒です。
あいまいな指示もいけません。
完成形をいきなり出されると手戻りが多くなりがち。
例えば、「手書きでもいいからドラフト段階で見せて」とか、「こういう目的で使うから1日2-3時間調べたところで1回見せて」など、いつまでにどの程度、ということを明確にコミュニケーションするとスムーズです。
Q. まずは制度より風土と上司ということなんですね?
働き方改革は、制度・施策 < 風土 < 上司
です。
専業主婦モデルでやってきた上司も高度成長時代は良かったのだけれど、今は意識を変えなければいけない。
働き方を変えないと取り残されるという危機感をもち意識改革が必要です。
風土を醸成したうえでこういう制度がうちに必要、という設計をし、
きちんと説明して改革を進めていく、ということが大切ですね。
「法律対応しとけばいいんでしょ」という姿勢ではうまく回らなくなってきます。
ヨーロッパでは法規制が厳しいなかでも競争力をつけている。
働き方改革って、長時間労働抑制なんでしょ?と安易にとらえている人もまだ多いですが、働き方を変えるのに「やらされ感」では絶対うまくいきません。
管理職からその意義をしっかり理解し、変わっていきましょう。
尾形さん、貴重なお話ありがとうございました。
2017年9月
取材: ウーマンエンパワー賛同企業 事務局(株)ママハピ・谷平
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