ママハピ

気がついて!それってモラハラかも!~気がついたら出来ること~<後編>

元ガミガミママで今は親教育の専門家の生駒です。

 

全3回でお伝えしているコラムの3回目<後編>です。

より良い親子関係のためにも、夫婦間のモラハラを減らしたい!

そんな思いを込めて書いています。

 

 

モラハラから抜け出す一番の方法はそこから逃げること。
モラハラをする人は、「自分は悪くない!」と本気で思っているので自発的に変わることは望めません。
良かれと思ってこちらが改善の努力をしても、自分がもっと傷つく事がほとんどです。

それでも逃げ出さずにこの状況を何とかしたい!

そう思うのなら、自分が変わるしかありません。

その最初の一歩が

自分の間違った認識を変えること。

 

モラハラはあなたの認知を歪ませる

モラハラに耐えてきた分だけモラハラの被害者には「認知の歪み」が出ています。

認知の歪み(にんちのゆがみ)とは
偏った物事のとらえ方が原因で出来た歪んだ考え方や、非合理的な思考パターンのこと。
こういった思考パターンは、ネガティブな思考や感情を再強化させ、抑うつや不安を永続化させうるとされている。

これは、児童虐待やDVの被害者などにもいえること。
例えば、児童虐待の場合、自分を叩いたり殴ったりする親に対し、それでも慕っていく子ども達。
大きくなるにつれ、自分の親はおかしい…と薄々気がつきますが…
おかしいと言ってしまったら生きていけない訳で、生きるため親の顔色を伺う中で認知の歪みが増幅します。

この認知の歪みは被害者だけではなく、加害者も同じ。

加害者の認知はかなり歪んでいます。
ただ、認知の歪みは自分が直そうと思わない限りそうそう直るものではないので、加害者の認知の歪みが直ることを期待してはいけません

期待してしまうこと自体、あなたの認知の歪みを増幅させるだけですから。

あなたの思考パターンの傾向は?

 

私達は物事を判断するとき、出来れば自分の先入観(バイアス)を入れず公平にというのが理想ですが、実際はなかなか難しい。
生活習慣、固定観念、局所的な危険、将来の懸念などの様々な外的あるいは内的要因により、後から後悔するような判断を下してしまうこ
とがよくあるもの。
でもそれが度を越すと、日常的に認知が歪み不安ばかりをあおってしまいます。。
こちらは認知の歪みの定義10パターン
自分の思考の偏りに気づくためにもチェックしてみて下さい。

認知の歪みの定義10パターン

 1. 全か無か思考
ものごとを白か黒かでしか考えられない極端な “完璧主義” の思考パターン
2. 一般化のしすぎ
1度や2度起こっただけの失敗・悪い出来事を、常に当然のごとく起きるコトだと思いこむ思考パターン。
“いつも” とか “すべて” とか “絶対” というような意味のコトバを含む場合が多い。
3. 心のフィルター
良いことを全て遮断してしまい、悪いことばかりを思い出させ、ものごとの良い部分をまるで意識できなくなる。
4. マイナス化思考
心のフィルターは良い部分を遮断するが、”マイナス化思考” は遮断する代わりに良いことを良いと考えられなくしたり、良いことを悪いこ
とに置き換えてしまう。
5. 結論の飛躍
人の断片的な行動や発言で、その人がどう思っているかを決めつけてしまい、それが本当か確かめようとしない。
だれにもわかるはずがない将来を決めつけてしまう。
6. 拡大解釈と過小評価
自分の失敗や悪いところを必要以上に大きく、自分の成功や良いところを極端に小さく考え、あるいは他人の場合はその逆に考える思考パ
ターン。
7. 感情的決め付け
感情を根拠にモノゴトを決め付けてしまう思考パターンです。
8. すべき思考
自分で考えた基準が当然であるとする思考パターン。
「~すべき」「~でなくてはならない」というようなフレーズが特徴。
「常識的に考えて」「まともな人間なら皆~だ」
というようなフレーズもすべき思考。
9. レッテル貼り
自分や他人に柔軟性のないイメージを創り上げて、そのイメージを固定してしまう思考パターン。
10. 個人化
モノゴトの責任(原因)の所在が、責任のない自分にあると考えたり、必要以上に自分に責任があると考える思考パターン。
これの逆パターンが責任転嫁

 出典 http://fernwelt.net/b/10-cognitive-distortions/

いかがでしょうか。
自分の思考の偏りに近いものはありませんか?

これらの思考は事実ではなく、あなたの先入観(バイアス)が作り上げた能の癖。
あなたがそういう人間だということではなく、ここからいくらでも変えられるものです。

もしかするとあなたは、モラハラの加害者が言ったりやったりしたことに対して、上記のパターンで思考していないでしょうか。

それは事実ではなく、あなたの先入観(バイアス)が作り上げた能の癖。

「自分が悪いから…」
という思考パターンに陥りそうになったら、これは事実じゃないんだ!

悪い能の癖なんだと自分に言い聞かせてみてください。

自分の思考の癖に気がついた次に出来ること

 

自分の思考の癖に気がついたら、次にすることは「事実」を見ることです。

事実ってなに

 

私がお伝えしている「親業」は、講座を通じて親子のコミュニケーションの理論とスキルを体系的に学びます。
そして、最初に学習するのが「事実」を捉えることです。
誰でも多かれ少なかれ認知の歪みを持っています。

ただ、親子関係や夫婦関係で悩む人はそうでない人に比べてほんのちょっと歪みが大きいようです。

その歪みに気がつくこと、「事実」を捉える学習をするだけでも親子関係が劇的に変化することがあります。

では、「事実」はどうやってみるのでしょうか。

「親業」では、

事実=「目に見えるもの」「耳に聞こえるもの」

として捉えます。

 

 

「事実」(目に見える、耳に聞こえる)だけを見る。
単純なようですが、やってみると意外と難しいもので、自分の認知の歪みを再確認できるはずです。

 

 

私達の生活は認知の歪みによって事実が伝わっていない事が多い

■では、ある夫婦のケンカの事例をご紹介します。

以下は、ケンカの翌日、妻と夫がそれぞれの友達に何があったのかを説明しています。

夫36歳 妻31歳

 

<妻と友達の会話>

友達:「何があったの?

妻:「私がテレビを見ているのが気に入らないからって勝手にのチャンネルを変えてきたの。

普通は聞いてから変えるものでしょ。でも、あの人に普通は通用しないの。

もう家でゆっくりテレビも見られない…」

友達:「それは最悪の旦那だね。」

 

<夫と友達の会話>

友達:「何があったの?」

夫:「俺がチャンネルを変えたら「何か言え」って命令してきたんだよ。仕事で疲れて帰ってきてるうえの気を使えと!大体あいつは仕事の大変さが分かっていない!感謝が足りない!」

友達:「それは最悪の奥さんだね。」

 

妻と夫、それぞれの認知の歪みから両者の言い分が食い、友達に伝わるものが違っているのが分かると思います。

 

では事実(目に見える、耳に聞こえること)はというと…

 

<事実>

(妻がテレビを見ていると夫が何も言わずにテチャンネルを変えた。)

妻:「何か言ってから変えてよ」

夫:「何で俺がお前の許可を得ないといけないんだ!」

妻:「私はお前じゃない!」

夫:「お前はお前だ!俺に命令するな!」

妻:「命令なんてしてないでしょ!」

夫:「何か言えって言っただろ!命令じゃないか!」

(リモコンを壁に投げつける)

妻:「物を投げないでよ」

夫:「ほら!また命令した!」

妻:「そんなにすぐ怒らなくてもいいじゃない」

夫:「なに上から目線で言ってんだよ!お前が俺を怒らせたんだろ!」

妻:「……」

バタン!(夫が扉を閉めて部屋を出て行く)

 

この事実が、お互いのバイアスを通して友達との会話のようになってしまうんです。

事実は一つ、でも、それをどう伝えるかで受け取り方が180度変わるというのは恐いものです。

 

また、すでに上記事実の会話の中でも、お互いの認知の歪みから「相手の揚げ足をとってみたり諭してみたり」と売り言葉に買い言葉。

お互い相手の話を聞かず意思の疎通が出来ていません。

これが続くことで夫婦の信頼関係は崩れ、モラハラが悪化する危険性が増していくわけです。

 

 

お決まりの12の型を知っていますか?

 

出来れば、普段の会話から、自分の認知の歪みに気がついてモラハラを回避したいですね。

 

そこで役立つのが「親業」でお伝えする「お決まりの12の型」です。
認知の歪んだ思考パターンからくる言葉を12に分類したものなんです。

 

お決まりの12の型

 

①命令 相手に何かするよう、またはしないよう言う。命令する
②脅迫 あることをすれば、どんな結果になるか言う。
③説教 何をすべきか、すべきでないかを言う。
④提案 どうしたら悩みを解決できるか、助言、忠告、提案する。
⑤講義 自分自身の意見、事実、情報、論理で相手の判断に影響を与えようとする。
⑥非難 相手に対して否定的な評価をする。
⑦同意・賞賛 肯定意的な評価をしたり賛成する。
⑧侮辱 はずかしめる。
⑨分析 動機は何かを解釈したり、原因を分析する。
⑩同情 相手の気持ちを良くしようとする。
⑪尋問・質問 原因、動機、理由を見つけようとする。
⑫ごまかし 悩みから相手をそらそうとする。

<参考>「親業」トマス・ゴードン著

 

※詳しくはこちらもご覧下さい。
「お決まりの12の型」を知っていますか?

「お決まりの12の型」を知っていると、自分の認知の歪みに気がつくことももちろん

相手(加害者)の認知の歪みにも気がつきやすくなります。

モラハラ加害者の恫喝や無視も「認知の歪み」の思考パターンなんだ!と分かれば自分を責めることが減り、モラハラから抜け出す道は大きく開かれますからね。

最後に~
★より良い親子関係のためにも、夫婦間のモラハラを減らしたい!
そんな思いを込めて、3回に分けてモラハラについて書いてきました。

 

これってモラハラかも?と気がつく最初の一歩になってくれたら嬉しいです。
モラハラからの脱出、心から応援しています。
そして、もう一歩進みたい!と思ったら、親業講座でお待ちしています。

 

<このコラムを書いた人>

生駒章子(いこま しょうこ)

【プロフィール】
・親業訓練インストラクター
・親の学校プロジェクト・主宰
ホームページ: 親の学校プロジェクト 

元ガミガミママで今は親教育の専門家として、埼玉県さいたま市を中心に活動しています。学校での講演も多数。
好きなことはマンガを読むこと。
おばあちゃんになったら毎日マンガを読んで暮らしたい!

■子育ての講演・執筆 PTA の家庭教育学級、サークルでの講演 ・ワークショップを行なっています。お問い合わせはホームページから