【出展者インタビュー】ターゲットを明確にしたキャッチで自分で集客することが大事
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「ウーマンエンパワー賛同企業」事務局では、賛同企業様の施策の参考になればという想いで、様々な企業事例や取り組みの取材をしています。
今回は、株式会社パソナグループ(東京都千代田区)に取り組みを伺いました。
1976年の創業時から、主婦に働く場を提供したい、女性の社会進出を応援したいと人材派遣業からスタートし、現在も「誰もが自由に好きな仕事を選択し、一人ひとりの人生設計にあわせた働き方ができる社会を目指す」という同社。社員の女性割合も全体の61.4%。(2018年5月末時点)。未就学児の子どもがいる社員はそのうち22.6%、女性管理職は51.0%、役員に占める女性の割合は30.1%、女性社員の出産後復職率は100%、1年間の育児休業取得者は100名以上となっています。
お話を伺った大日向常務執行役員↑
Q. 様々な取り組みをされている中で、特に効果が高かったものは何でしょうか?
まず「特別勤務制度」は社員から好評でした。最大2時間30分(30分単位)まで勤務時間を短縮できるタイムサポートコースは、最大で子どもが小学3年生まで活用可能です。また、地域に限定して勤務できるエリアサポートコースもあります。
対象を拡大して、週20時間以上の勤務の正社員は利用が可能となりました。
復職後は、ご本人のキャリアプランや環境、親やパートナーなど周囲のサポートが全くない人もいるので、そういった状況も見ながら配置を決めています。
次に「IDOBATA会議」です。
Innovation(変革を起こす)、Do(行動する)、Balance(ソーシャル・ワーク・ライフ・バランスを実現する)、Talent(才能・能力を活かす)の頭文字をとって名付けました。
「自分のキャリアは自分で創る」が私たち人事の根底の考えとしてあります。
復職1~2年目の女性社員を対象に、社会人・企業人・家庭人として、ライフステージの変化にどう向き合って自律的なキャリアを築いていくのか、これからを考える場として、また同じ境遇の女性社員やキャリアメンターとなるベテランママ社員と情報交換する場として、おいしいランチを囲みながら20人位の規模で開催しています。
そして「パソナファミリー保育園」。
グループ各社の社員とエキスパートスタッフが利用できる事業所内保育所です。お絵描き、英語、リトミックなど様々な教育カリキュラムがあるほか、タオルや着替え類を保育園内で洗濯するランドリーサービスが好評です。時差出勤を認めているので、朝のラッシュ時間を避けて出勤することも可能です。ホールで運動会をやったり、ハロウィンの仮装をした子どもたちが歩いていたり、社内に子どもたちの姿が日常的にあるというのが特徴的です。
私も2歳の子どもをパソナファミリー保育園に預けて出勤しています。
共働きが当たり前になりつつある今、共働き家庭支援にも取り組んでいます。学童の待機児童問題も叫ばれる中、夏休みなどの長期休暇にパソナグループ各社のサービスメニューを活用したキッズプログラムを提供する子どもスクール「Miracle Kids Otemachi」を実施しました。大手町牧場(ビル内)でバターづくりを体験したり、スタジオで体を動かしたり、社内リソースを使って子どもたちの夏休みの思い出づくりとともに、将来やりたいことのヒントを見つけられる機会を提供しようというものです。周辺の企業からも社内で実施してほしいというお声を頂いており、今後は対外的なサービスとしても提供していく予定です。
社員の声を聞きながら、働く人々が欲しいサービス、すなわち社会の問題点を解決するサービスをつくっていきたいと考えています。
Q. 試行錯誤しながらの難しさはあったのでしょうか?
女性社員が増え、今では毎年約100人の産育休の社員を見送り、約100人が戻ってくるようになりました。
以前はバックオフィスのサポート業務に復帰して頂くことが多かったのですが、やはりママのキャリアパスも大切になってきましたし、毎年増えていくママの力というのが会社にとっても大きくなっていく中で、安心して復職してもらうプログラムを充実させました。
半日間、パソナファミリー保育園に子どもを預けて研修や人事部長との面談なども行い、スムーズな復帰を図れるような整備をしています。
このような取り組みにより、2007年に70%だった出産後の復職率は、2011年頃から100%になりました。
Q. 中小企業でもできる取り組みはありますか?
私が兼務で代表を務めるグループ会社の株式会社エコLOVE(カフェやオフィスづくりなど福利厚生のアウトソーシング事業)は小さな規模ですが、社員の半分以上が外国人です。よくアイディア会議を開き、みんなでいい環境をつくるにはどうしたらいいか?ということを話しています。
例えば社内の規程やマニュアル。日本語の規程やマニュアルと、英語の文書は通常わかれていますよね。それを1つの文書で日本語と英語を一緒に並べて記載しよう、という社員のアイディアを取り入れたところ、外国人のマネジメントも円滑になっていきました。
また弊社にはキッズオフィスという、急に子どもが保育園や学校を休まないといけなくなった場合にママがオフィスに子連れで仕事ができるお部屋があります。お昼寝セットやおもちゃもあり、手ぶらで来れるようにしていますよ。
大企業だからできることもありますが、中小企業だからこそ工夫次第で柔軟に対応できることがあるのではないかと、自身の経験からも感じています。
業務改善やシステムの見直しもできるところから始めるといいのではないでしょうか。
例えばエコLOVEではTV会議システムを導入しました。TV会議システム費の方が全体の出張経費より安かったのです。
社員の生産性を高めるために、自社に合ったツールやシステムの整備を検討してみるのもよいかもしれません。
パソナグループは現在約70社のグループ会社を有しています。2007年の持株会社設立時からガバナンス強化には取り組んできましたが、近年のM&Aや業容拡大により、更なるガバナンスを強化するため、2018年9月より新体制を敷き、ホールディングスであるパソナグループがグループ全社を横串しでみる体制となりました。それに伴い、常務執行役員が1人10社ずつほど担当してグループ各社に入り込んでいます。そうすることで業務効率化が進み、本体の情報を欲するグループ会社と連携がとりやすくなり、非常にうまく回っています。
各社に合った業務効率化の施策を、できるところから実施していくことは有効ではないでしょうか。
大日向さん、どうもありがとうございました。(↓社員の英語アレルギーをなくすことを目的とした社内施設・グローバルサロンにて)
▼同社のダイバーシティ推進の取り組みの変遷
1993年 「マイキャリアバンク」導入
社員が年に一度、現在の職務に関する状況やキャリアプランを直接人事部に申告できる制度
1997年 「ライフサポートコース」導入
最大2時間30分(30分単位)まで勤務時間を短縮できるタイムサポートコース(最大で子どもが小学3年生まで活用可能)と、地域に限定して勤務できるエリアサポートコースがある。週20時間以上の勤務があれば正社員で利用可。
2006年 「ハローベビー休暇」制定
男性社員の育児参加支援のため2011年に制度を拡充。子どもが1歳2か月に達する日まで(休業理由により1歳半まで)休暇がとれる。家事代行サービスの補助も行う。
2010年 「パソナファミリー保育園」開設
グループ各社の社員とエキスパートスタッフが利用できる事業所内保育所。英語やリトミックなど様々な教育カリキュラムがあるほか、荷物なしで手ぶらで通えることが好評。
2011年 「復職プログラム」拡充
優秀人材の早期復職を支援する制度。育休中に上長・人事部と面談。復職後3か月は業務や今後の目標を上長にレポートし環境を整えていく。
2012年 「ファミリーケア サポートコース」制定
社員のキャリアアップやライフ支援のため休日等に実施される各種研修・会議へ安心して参加できる環境を整備。パソナグループの育児・介護メニュー等のサポートを受けられる。
2013年 「IDOBATA会議」開始
復職1~2年目の女性社員が対象。同じ境遇の女性社員やキャリアメンターとなるベテランママとの情報交換の場(ランチ会)
2014年 「ワンダーウーマン研修」開始
女性リーダー人財の育成を目指す実践型プログラム。ビジョン構築、価値創造、プレゼンス力向上、ネットワーキング等を学ぶ。
2015年 「パソナファミリーケアプログラム」導入
突然訪れる家族の介護に備えて、介護セミナーの実施、情報提供、お悩み相談デスク、家事代行(生活支援)サービスなど離職予防のサポートプログラム。
2016年 「パソナヘルスケアプログラム」導入
ソーシャル・ワーク・ライフ・バランスを実践できるようさらなる健康サポートの推進
2016年 「ワークライフファシリテーター」設置
仕事にとどまらず健康・育児・介護など様々な相談に専門資格と幅広い経験をもつファシリテーターを設置。
株式会社パソナグループ
常務執行役員 大日向 由香里
エンターテインメント会社の創業者のアシスタントを経て29歳で独立起業、現在は食、スポーツ、エンターテインメント、グローバル分野にてプロデュースを行う株式会社エコLOVEの代表取締役を務めながら、株式会社パソナグループで人事・総務部門の常務執行役員を兼務する。2016年に第一子を出産。現在は子育てと両立しながら、働く人々がイキイキと働ける環境作りに取り組む。
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