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働く2018/08/27

個人と組織の関係性はどう変わる?手段としての副業・複業

ウーマンエンパワー賛同企業」事務局では、賛同企業様の施策の参考になれば

という想いで、様々な企業事例や取り組みの取材記事を掲載しています。

 

今回は、出版流通企業に勤めながら、一般社団法人Work Design Lab代表理事のほか、

地元広島の創業サポーターや福山市駅前再生協議会の委員を務めるなど、

複業家というマルチな活動を通して、新しい働き方を牽引している石川貴志さんに、

働き方のヒントを伺いました。

 

 

 

Q. 活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

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私は銀行員から脱サラした父の会社が17歳の頃に倒産し、親せきを転々とするという

経験をしました。なんとか大学へ進学できたものの、身をもって不況を感じながら学生

生活を過ごしました。時代的にも就職氷河期という背景もあり、“日本を元気にしたい”と

いう思いを抱きつつ、IT業界のエンジニアとして就職し、その後、自分のアイディアを

形にできて、重要性を感じた人材の適材適所に関われるリクルートエージェントに転職

しました。

転職後、新卒の就職に関する事業開発に携わったことで、“働くとは”ということを就活

時期よりもっと早い段階で考える必要があるのではと感じ、教育分野への関心を持ち始め

ていた折、元上司から教育の新規事業立ち上げに参画しないか、という声が掛かって2回

目の転職を決めました。

 

ところが、本来やるはずだった新規事業が会社の事情で凍結し、空いた時間で新たな事業

を模索する日々が続きました。そんな中、妻から聞いたNPO支援を行っているSVP東京

(ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京)の活動に参加したことが、社外の活動を

始めるきっかけとなったんです。本業を持ちながらも、社会的な課題解決に取り組む革新

的な事業に対し、情熱を持って資金提供や経営支援を行っている人々の姿は衝撃的でした。

 

転職支援のリクルートエージェントに勤務していた頃は、ボランティアって資本主義

の中で弱い存在のイメージでしたが、仕事で成果を出している人たちがお金という対価を

もらわずに動いているという力学に面白さを感じたんです。

こういう人が増えると、もっといい社会になるなと感じ、未来の組織のヒントがあるの

では、とのめり込んで行きました。

ちょうどその年は、東日本大震災が起きた年でもあり、また第一子の誕生も重なって、

社会的な活動への関心が向くようになりました。

そんな中で始めたのが、Work Design Labの活動です。

スタート当初は任意団体だったんですけど、法人格が必要になったため、一般社団法人に

なりました。現在メンバーは約40人いて、全員複業としてやっています。

 

 

Q. 勉強会には個人だけでなく企業側も参加してますね?

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働き方って、個人1人の問題ではなく、ベストな働き方というのは組織の中での関係性

が重要です。

“志あるルール違反が新しい働き方を創造する”をキーワードに、組織と個人の関係性を

リデザインしていくことが、より良い社会に繋がるのでは、と考え、働き方を再定義

しようということをテーマに活動しています。

2013年から開始した「働き方と組織の未来」ダイアローグセッションという勉強会は、

延べ1500名以上の方に参加いただきました。(17年3月現在)

 

今後は複業という形態を通し、個人が組織の外と繋がり、新しい感覚や価値観を持ちつつ

組織に再結合することで、組織をバージョンアップさせるヒントにならないかと模索

しています。

 

 

 

Q. 個人と組織の「再結合」が最近のテーマなんですね。

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個人が会社を攻撃するというのはいい関係性ではありません。

そうなってしまうと、組織という枠を越境しても会社に再結合できず転職することに

なってしまう場合も。

やはり改革のためには、ありがたい存在である会社へのリスペクトも大事。

会社をうまく活用しうまく付き合うことも必要です。

自分自身が組織内外の情報を「新結合」させるためのハブになるというイメージでしょうか。

とても難しいですが、学びたいテーマです。

 

 

Q. 複業が注目される中で企業としてはどう対応していくべきでしょうか?

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大きな流れとして、中心軸が組織から個人に移っています。

働き方の担当者はそれを自覚して受け入れないと、どこまで言っても「働かせ方

改革」になってしまうのかなと。

 

考え方としてはワークスタイルはあくまで手段。目的ではなく手段のKPIだけ追うのは

意味がありません。

ライフデザインとは、言い換えると自分自身の人生の時間を再配分することだと思います。

仕事や家族にどれだけの時間を使うのか。意識を改めるだけでは、何も変わりません。

仕事においてはまず会社や上司の期待値を握って、短い時間でパフォーマンスを上げ、

100%以上の成果を出すことが必須です。

その上で、今まで分断されていた仕事と家族とそれ以外の時間を、新しいコンセプトで

融合させたり繋ぎ直したりしてもらうということを前提に対応していくのがよいのでは

ないでしょうか?

 

 

Q. 個人側も何がしたいのか向き合わなければならなくなってきていますね。

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自分で自分のことってよくわからないことが多い。

自分に向き合い、やりたいことに出会う手段の1つが「複業」だと思っています。

複業として試すことができたら、もっと多くの人がやりたいことを見つけてイキイキ

できるのではないかと考えています。だから、複業は手段です。

それを踏まえて各企業が個人を支援できるといい人材獲得にも繋がると思います。

 

 

Q. 中小企業は複業されたら外に逃げられて困るという経営者は多いですよね?

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出身の広島県の中小企業団体との取り組みで同じ意見が多く出ます。

「中小は魅力的な外の世界を見られたら戻ってきてもらえない」と。

 

やはり人材側にもマインド、ビジネススキルと情報の取扱いへのリテラシーが

必要です。

中小企業には、「今社員に複業させる必要がないなら一旦無理に普及させず、まずは

社外の労働リソースの手段として複業を位置づけるといいのでは?」と提案しています。

いい社員が見つかっていない部分を社外から活用する、というイメージです。

 

 

Q. 女性活躍という文脈で感じていることはありますか?

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子育て後に復職できる環境は企業側もぜひ整えてもらいたいですが、子育て後も

復職しようと障壁を乗り越えている女性に共通するのは、新入社員の時から

会社に期待されて健全な自己肯定感が培われているということだと感じています。

こういう女性たちはどんなに形を変えても働き続けているなと。

だから若いうちから女性にもしっかり期待し任せてあげられる環境は重要かなと

感じています。

 

私の妻もずっとトップ営業でしたが、今までの長時間労働で勝つスタイルが、

子どもができるとどう考えても無理になる。葛藤もあるなかで、

明らかに家族は個人戦ではなく、チーム戦に切り替えなければならない。

家庭というチームの経営改革もセットで必要です。

 

企業もそのチーム戦を応援するというスタイルが求められていると感じています。

その女性の関係性、つまり会社、夫、親、地域、PTAなど・・・

どう会社としてその人材の関係性を含めた環境づくりをしてあげられるのか?

ちょっとしたファミリーイベントだってその支援の一つだと思います。

 

 

Q. 3児の父としてもチーム戦にかなり参加されてるようですね。何か

アドバイスはありますか?

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大したことを言える立場ではないですが、

ビジネスパーソンは「はしょり仕事」「手伝って」は嫌いです。家事も戦略なんだ

意義を伝えてあげて、任せる、がいいんじゃないでしょうか?

ビジネス用語に変換接続してあげるとパパにも伝わりやすいことが多いです。

「家族みんなのために全体の業務改善を考えてみて!」とか(笑)

 

 

家族という経営チームを改革するうえで、

妻とのパートナーシップは、ビジネスで外との関係性、矛盾する立場との関係性

をつくる力と共通します。

矛盾する関係性に、ぶつかった時にただ押し切るのではよい関係性がつくれません。

こういった筋肉を使っていくことでいいチーム戦に繋がっていくのではないでしょうか?

 

 

一般社団法人Work Design Lab代表理事/複業家 石川貴志

 

 

リクルートエージェント(現リクルートキャリア)の事業開発部門のマネージャーを経て現在、出版流通企業にて勤務。2012年より社会起業家と革新的な事業に対して資金提供と経営支援を行うソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)のパートナーとしても活動。2013年にWork Design Labを設立し「働き方をリデザインする」をテーマにした対話の場づくりや、イントレプレナーコミュニティの運営、また企業や行政等と連携したプロジェクトを推進する。現在は、(公財)ひろしま産業振興機構の創業サポーターや、(独)中小機構が運営するTIP*S アンバサダー、順天堂大学グローバル・ヘルスケア・リサーチセンター客員研究員も務める。新しいワークスタイルに関する講演・執筆多数。1978年生まれ、三児の父。

 

 

 

2018年7月

取材:ウーマンエンパワー賛同企業 事務局 谷平

 

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