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【取材記事】お互いを理解し合い、支え合うことが「女性活躍」のゴールへの第一歩(株式会社シーボン)

「ウーマンエンパワー賛同企業」事務局では、賛同企業様の施策の参考になればという想いから、さまざまな企業事例や取り組みの取材をしています。

 

 

今回は、株式会社シーボン(東京都港区/化粧品及び医薬部外品並びに美容器具等の製造販売および輸出入事業)を取材させていただきました。

 

 

<メインオフィス> シーボン.パビリオン(川崎市)

 

 

正社員数1,071名(うち女性984名)、非正規社員数472名(うち女性460名)※2019.3.31時点 と、業態的に女性が圧倒的に多い職場でどのような企業努力をされているのか、企画本部 執行役員の瀧さま、ES向上推進室の井上さま、武市さまにお話を伺いました。

 

 

井上さま・瀧さま・武市さま

 

 

 

Q.まず、事業内容について教えてください。line_pink

創業54年の化粧品メーカーです。『美を創造し、演出する』という企業理念のもと、“お客様の肌に最後まで責任を持つ”ために、化粧品の販売だけではなく、全国100店舗以上のシーボン.フェイシャリストサロンにて、肌チェックやフェイシャルケアなどのアフターサービスを行うことでお客様に「美」を提供し続けています。​

 

  

 

 


Q. シーボン.さんのコーポレートサイトを拝見しますと、冒頭に 【シーボン.は働く女性を応援しています】 と大きく記載されていますよね。企業として社会に対ししっかりとメッセージを発しておられますが、女性活躍という観点で特に力を入れて取り組んでいることをお聞かせください。
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はい、いくつかの取り組みの中で特に注力しているのは以下の2点です。​

①評価・キャリアアップの考え方

シーボン.では、性別や年齢、バックグラウンド(学歴・職歴)等に左右されない、公平な評価とキャリアアップの機会を大切にしています。全ての社員がチャレンジしやすく、一人ひとりが能力を発揮できる環境を整えている結果、女性も活躍しているのだと思います。
店舗は、販売実績とお客様アンケート評価を元に、本人の頑張り次第で給与アップの機会があります。本社は目標管理制度を導入しており、半年に1回面談をして目標や達成度合いなどのすり合わせをしています。
「時短だから」「育休をとったから」などはデメリットになりません。成果次第で皆が公平に評価されます。その分、「どう効率的に仕事をするか」は大事であり、時短であっても介護・子育て中であっても成果をきちんと出す必要があります。
実際、数年前に年間最優秀社員賞を獲得したのは時短社員だったという事例もあります。

 

 

②ショートタイム正社員・社内報
とはいえ社員の約9割が女性のため、ライフステージの変化はつきもの。社員がライフステージの変化に左右されることなく、キャリアを継続できるよう、様々な取り組みを行ってきました。(※下記年表を参照)

その中でも特に『ショートタイム正社員』は、育児や介護、健康上の理由などでフルタイム勤務が難しい場合、週4~5日、1日6時間で正社員として働ける制度。育児や介護が落ち着いたら通常の働き方に戻ることもできます。雇用形態を変えることなくキャリアを継続できるのは、社員にとって安心ポイントです。

 

そして、制度導入後は、浸透と利用促進を目的に“制度を活用し、働き続けている社員”を紹介する『社内報』の連載を始めました。社員は毎月、何かしらのモデルケース(育児・介護・キャリア・シニアスタッフの活躍事例)を目にするので、“将来ライフステージが変化しても働き続けている自分の姿”をイメージできます。

例えば、新米ママ社員は、先輩ママ社員の記事を社内報で目にしているので、「職場復帰できない」という概念はありません。また、介護の事情で一時的にショートタイムを選択した社員が、職場の上司や介護士の協力を得て通常の働き方に戻り、店長に昇格したという記事を読んで、勇気づけられる社員もいます。個人個人の事情にあわせて、やりがいを持ち続けられるよう、これからもそういったモデルケースの共有をしたいと考えています。

 

【年表】
2008年   マタニティ制服の導入
2011年4月   育児休業の延長(子が3歳まで)/ 育児短時間勤務の延長(子が小学校入学まで)
2012年4月     ウェルカムバック制度(結婚・出産等を理由に退職した社員の再雇用制度)
2014年4月   ショートタイム正社員制度の導入
2014年6月~  社内報の発行
2015年7月~  C’BON Family Dayの定期開催
2017年2月~  育児復帰セミナーの開催

 

【効果】
・結婚後も働き続ける女性正社員の増加(2015年度末279人→2018年度末391人)
・育児休業復職後の女性社員の定着率向上(2015年度末90.0%→2018年度末91.3%)
    ※参考値2014年度末80.0%
・子育てしながら働く女性正社員の増加(2015年度末234人→2018年度末401人)
・女性正社員の勤続年数の増加(2015年度末7.5年→2018年度末9.0年)

 

 

 

Q.​「働き方に制約があるという理由で、仕事を続けることをあきらめなくて良い環境がある」とわかっているだけで安心して働けますね! そういった取り組みを評価され、シーボン.さんは「女性の働きやすさ」という視点で、多くの認定や表彰を受けていらっしゃいますね。line_pink

 

はい。女性社員が多い環境だからか、私たちはあまり性別を意識させられたことはありません。

長年働いている社員はこの風土が当たり前になっているので、社外からも様々なカタチで認めていただけるようになり、「改めてシーボン.で働いていてよかった!」と感じてもらえることは、本当に嬉しいです。ウーマンエンパワー賛同企業の受賞(※2017年度 準グランプリ・2019年度大賞)も、みんな大喜びでした(笑)。

 


【参考/受賞履歴】

2014年6月に「次世代認定マーク(くるみん)」を、2017年2月には、「えるぼし」の最高ランクの認定を取得
東洋経済新報社が主催する「女性管理職の登用が目立つ会社50社ランキング」において、2017年版、2018年版で第1位、2019年版でも第2位と、3年連続で上位に。
「Forbes JAPAN WOMEN AWARD」においても2017年版、2018年版で第1位、2019年版でも第2位と、3年連続で上位にランクイン。ウーマンエンパワー賛同企業でも、2017年度の準グランプリに続き、2019年度は大賞に選出。


 

Q.そうでしたね!以前より当取り組みにも積極的にご賛同下さりありがとうございます。ところで、シーボン.さんは女性がライフイベントに左右されずに働き続けるための多くの制度を運用していらっしゃいますが、その上で課題に感じていることはありますか?line_pink

 

まずは制度の浸透ですね。社内報の発行により、だいぶ浸透してきていますが、引き続き注力したいです。
そして、制度を利用するということは、支えてくれる人もいるということ。時短スタッフが帰った後もフルタイムで勤務しているスタッフがいて、お互い支え合ってお客様に「美」を提供しています。
制度が浸透してきた今、私達が課題と捉え、改めて注力しているのは、フルタイム勤務でサロンを支えてくれているスタッフへの取り組みです。その一つとして、今年から55歳以上のスタッフを対象とした『セカンドキャリア研修』を開始しました。研修では、年齢にとらわれることなく活躍し続けるための考え方に関するワークショップや交流会、サプライズ表彰を行い、参加者の9割から「働く意欲が向上した!」という回答をいただきました。
すべての社員にフォーカスを当て、「お互い様精神」を大切にし、お互いの事情を思いやることのできる風土づくりに務めています。

 

 

  

 

 



Q.女性活躍や働き方改革について模索する企業にメッセージがあればお願いします。
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シーボン.は、化粧品を通じて人生を輝かせることを事業としていることから、それに携わる社員一人ひとりも輝いてもらいたいと思っています。「女性活躍」や「働き方改革」というとハードルが高く感じられますが、ゴールは ”誰もがイキイキと働き、輝くことができること”。
様々な立場の人がお互いを理解し合い、支え合うことがゴールへの第一歩だと考えています。社員一人ひとりが輝ける会社を目指して、一緒に取り組んでいきましょう。

 


Q.最後に、はたらく女性たちにメッセージをお願いします。​
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女性の場合、様々なライフステージの変化がありますが、自分自身の可能性も狭めることなく色々なことにチャレンジしていただきたいです。
性差をなくしていくには、制度に甘えず成果を出す覚悟が必要。そして、サポートしてくれる人たちへの想像力や感謝の気持ちは欠かせないでしょう。
女性の活力は、社会の活力になります。一緒にがんばっていきましょう!

 

 

 

編集後記line_pink

 

新卒から長く勤めている社員の方が「性差を意識させられたことはない」とお話しされていたことや、「一部の人の優遇ではなく、お互いさま意識をもって全ての人材が働きがいを持ち続けられる仕組みづくり」をされていることが、まさにシーボン.さんの強さなのだと感じました。

 

わかりやすく「女性活躍」というキーワードは利用されていますが、こういった女性側にも「成果や厳しさを求める」こと、それを支える人も含めて差がなく、「みんながやりがいを感じ続けられる風度」をつくっていること、そしてそれが意識することなく「当たり前になっているということ」が本来の本質的な女性活躍の姿であるのではないかと改めて感じさせられました。

 

これからも誰もがしなやかに変化し続けられる社会の実現に向けてますます発展されることと思います。ウーマンエンパワー賛同企業事務局でも、引き続き応援させていただきます。この度はご協力ありがとうございました。

 

 

取材:ウーマンエンパワー賛同企業事務局

2019年12月