生活の中にあるルーティン
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真新しい制服に身を包む子、大きなランドセルを背負って一生懸命歩く子。こどもたちにとっては期待と不安の新学期ですね。
新しい教室、新しいクラスや先生、新しいお友達に囲まれてワクワクも大きいけれど、緊張することも多いかもしれません。たくさんの新しいことに囲まれて、一生懸命頑張ってきているはずです。
お母さんだってドキドキ、こどもがどんな風に過ごしてきたか心配になるし、気になるし、知りたいですよね。
帰ってきたこどもが、ねぇお母さん!こんなことがあって、こんなことをして、こんなことを思った!って話してくれる子だったら少しは安心なんですが・・・こんな会話の経験はありませんか?
今日はどうだった?―――席替えした。
先生はどんな感じだった?―――女の先生。
お友達できた?―――わかんない。
何をした?―――遊んだ。
あ~もう。聞きたいのはそういうことじゃないのに!と感じるお母さん。
なんでうちの子は、こんなに話すのがヘタなのかしら!?
こんな感じでは、先生やお友達とちゃんとコミュニケーションを取れるのかしら?自分の思ったことをちゃんと伝えられるのかしら?誤解を生じて、お友達とトラブルにならないかしら?先生にわかってもらえなくて、損しないかしら?言えなくて、我慢してストレスをためないかしら?
そうです。自分のことをきちんと伝えられるということは、実はとても大事なことなのです。
決して自分のことを主張するとか、言い分を通すとか、わがまま放題言うとか、そういうことではなく、「自分のことを伝える」ことはコミュニケーションの基本となることです。
自分の考えや気持ちを伝えること。
「僕はこう考えた」「私はこう感じた」ということは、主張ではなく、お互いを知るために欠かせないコミュニケーションです。そこがコミュニケーションの入口とも言えるかもしれません。
◆ ◆ ◆
でも、こどもは自分の考えたことや感じた気持ちをすぐに答えられるでしょうか。もしもお母さんがうちの子はできていないと感じる場合、いくつかの理由が潜んでいます。
◆漠然とした質問を投げかけていませんか?
あなたは「最近どう?」と聞かれたら、何と答えますか?
「まあまあだよ」とか「元気だよ」とか、そんな感じではないですか?大人だって、実は漠然とした質問には、漠然としか答えられないものです。
では、こどもにはどのように質問していますか?
「今日どうだった?」「今日は何をした?」「今日は楽しかった?」そんな質問から投げかけていませんか?こどもは答えを必死に探して、ことばが詰まってしまうかもしれません。もしくは、何のことをきかれているかわからないかもしれません。
◆なにが今の気持ちなのかわからないのかも?
大人は改めて考えたことがないことが多いかもしれませんが、実はこどもには自然なこと。
ある出来事に対して生まれた自分の気持ち、こどもはそれに気づいていない場合があります。
嬉しい、楽しい、悲しい・・・そんな気持ちは経験しているこどもが多いのでわかっている子が多いと思います。では、モヤモヤする、イライラする、不思議に思う、がっかり、涙が出るほど嬉しい、などはどうでしょう?こどもにはまだ経験したことのない気持ちがあったり、これがその気持ちなんだ・・・ということがつながっていないことも考えられます。
◆自分の考えや気持ち、間違ってたらどうしよう?
実はとっても問題なのがこれ!これは、最近よく聞くこどもの「自己肯定感」の不足にもつながることです。
まわりの大人が「そうじゃないでしょ」「こういうことじゃないの?」「こうだったでしょ。」と否定したり、訂正したり、先回りしたり、答えに導いたりすることが、こどもに表現することを制限してしまう可能性があります。
こどもが一生懸命、少ない経験から知っている言葉をつなぎ合わせて表現したことを、大人に否定されたり訂正されてしまうと、どうなるでしょうか?―――「間違っていたんだ」「他に正解があるんだ」と思うようになってしまいます。
そもそも、自分の考えたことや感じた気持ちには、間違いも正解もないのですが、そのように思い込んだこどもは素直に表現することが怖くなってしまう可能性があるのです。
◆ ◆ ◆
いかがでしょうか?なにか当てはまることはありましたか?
では、どうしたらこどもが自分の考えたことや感じたことを、言葉にすることができるのでしょうか。
【 こどもが自分のことを伝えられるようになるには? 】
1、焦点をあてて質問してみましょう
最初の質問を意識することがカギです。最初に漠然とした質問を投げかけないようにするには、焦点をあてた質問をするよう工夫してみましょう。
「今日一番楽しかった授業は何だった?」
「おいしかった給食のメニューはどれだった?」
「今日の授業で初めて知ったことは?」
質問の焦点を当てることで、こどもは具体的な場面が頭に浮かんできます。すると、それを説明しようと言葉にしはじめます。さらに焦点を当てたはずの話題が、そこから広がることもたくさんあります。
「僕は◇◇がおいしかった」「おいしそうだねー」「でも○○ちゃんはそれが嫌いなんだって。」「○○ちゃんはお友達?」「前の席の子」「大丈夫だったかな?食べられたのかな?」「一番最後だったけど、みんな食べられたよ」「先生も一緒に食べるの?」「うん、先生ね・・・」なんて、会話がどんどん広がっていくかもしれません。
2、こどもが感じた気持ちは、どんな時と同じ?
「楽しかった」「面白かった」―――こどもが気持ちを表現する言葉の代表格(笑)
何を聞いても、最後はこれ。ってことありますよね。そんな時は、もう少し踏み込んで、感情を学ぶ練習をしてみましょう。
「どんな時と同じくらい楽しかった?」
「1~10の数で言うと、どのくらい楽しかった?」
「どんな時より楽しかった?」
最初は「このくらい!」とかあいまいな答えかもしれません。「ゲームと同じくらい」など、比べにくい話も出てくるかもしれません。でも、その考えることと、自分で認識することが大事な過程なのです。
お母さんが「ワクワクするくらい楽しかったってことかなぁ?」など、確かめながら話をしたり、「お母さんも今日楽しいことあったよ。○○したときと同じくらいたくさん笑って楽しかったよ。」とお母さんの気持ちを話すことも、こどもには経験になるものです。
3、こどもの発信を受け止めることを忘れずに!
こどもが一生懸命、少ない経験と知っている言葉をつなぎ合わせて発信したこと。
まずはそれを受け止めることを、大人は忘れてはいけません。
「そうだったんだね。」
「話してくれたから、よくわかったよ。」
「もっと聞きたいな。教えてほしいな。」
受け入れられたこどもは、安心して表現することができます。つまり、自分のことを伝えるための練習がたくさんできるようになるわけです。家族は、それを受け入れあう場所でいたいですよね。
◆ ◆ ◆
このようにこどもが練習を重ね、自分のことを伝えることができると、人から認められるようになります。人から認められると、自分に自信が持てるようになります。自信を持つ子は、チャレンジができます。こうして、活躍を重ねることができる―――これはすべてのお母さんが願っていることではないでしょうか。
ぜひ、こどもが新しい環境に身を置くこの時期、経験がいっぱいで話したいことがあふれているこの時期に、こんなコミュニケーションの練習を始めてみませんか?
志田 ちほ
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