今回は、進行中の「働き方改革」有識者議員でもあり相模女子大学客員教授の
少子化ジャーナリスト・作家/白河桃子氏の講演を取材しました。
(※H29年12月3日(日)船橋市男女共同参画講演会プログラム 男と女のライフ
デザイン-私らしい生き方、働き方- 産むと働くの授業 の内容を抜粋したものです)
「自分で選択できる女子とそのパートナーを育てる」のがミッションだという白河氏は、
「働き方改革は暮らし方改革」だという。
働く世代より養われる世代が増えていくなか、活かしきれていない女性を活用するには、
女性が全て抱える体制では回らない。
これからの時代はチーム稼ぎ・チーム育児が肝となる。
施策は「女性活躍や両立支援」から「働き方改革」、という流れとなっており、
以下がポイントだという。
・全体の長時間労働、上限規制
・柔軟な働き方(在宅、フレックス、子連れ)
・時間ではなく、時間あたりの成果(評価)
・有給取得率(平均は8.8%)
・育休復帰、時短復帰を早期に
・選べる働き方
特に働き方改革実現会議では、
「労働時間の改革」と「ITによる柔軟な働き方・テレワーク」が重要視されている。
実際に、16時退社が導入された大手企業の女性社員からは、
「こんな働き方があったらもっと早く産んだのに。もう一人欲しかったのに。」
という声も出たそうだが、働き方が変わるとライフブラン・ライフデザインも変わる。
少子化対策とも直結する課題である。
昭和型女性のライフコースは、結婚・出産して子育て後にパートで復帰する
(正社員は4人に1人しか復帰できていない)というベルトコンベアがあった。
平成型の女性ライフコースにはベルトコンベアは存在しない。
転職するのか?出産する?離婚する?リストラ?再婚?など、様々な選択肢がある。
(3組に1組が離婚している。4組に1組は再婚である)
平成型の男性ライフコースも変化した。正規か非正規か?リストラ?フリーになる?
転職?主夫になる?結婚するかしないか、子供をもつかもたないか、離婚?再婚?など
こちらも選択の自由が増えている。
家族の形も多様化している。8世帯に1世帯がひとり親、3世代同居や主夫家庭もあるし、
共働きが多数派となっている。養子縁組・里親家庭ほか事実婚、同性婚も増えてきた。
若者の年収が10年で100-200万円落ちている時代、
女性はこれから「働かないこと」は難しいが、色々な選択肢はもてる。
男性にも「仕事をやめる」「働けなくなること」の想定が増え、自由度があがっている。
学生に講義をすることの多い白河氏によると、彼氏もできる前から両立に不安な女子学生
が多いという。バリキャリで一生働き続けたい学生、ゆるキャリで細く長く働きたい学生
は多い。半数以上が早く結婚・出産したい、就業継続したいと調査では回答しているが、
結婚にも慎重なよう。そんな彼女たちに白河氏は、「仕事、結婚、子ども。欲しいものは
自分で意識的に活動しないと手に入らない。つまり自然=受け身では無理なのだ」と
メッセージしている。
そして、女子も養ってもらうことを目指さず、あきらめずしっかり就活すること、
そして、シェア夫婦でチーム育児・チーム稼ぎをすること を提唱している。
7割の人が結婚したいのに、結婚しない人が多い実態もある。
まずは経済的問題ももちろんあり、雇用が安定しないほか、女性が求める理想の結婚相手
の年収600万円以上の人は100人に5人。400万円以上としても4人に1人。つまり養える、
養う気のある男性は激減している。
また、結婚したい人でも男性の6割が受け身、女性の7割が受け身。
つまり、お互い待ち受けだから何も起きないのだという。
そして、結婚したとしても働かないリスクは
1.離婚
2.夫のリストラ、給与カット、長期就業不能 だ。
エンジンが2機なら1つが止まっても飛び続けることができる。
働くことは女性にとって最大のリスク回避なのだ。
というわけで、自活女子、自炊男子を目指そうというわけだ。
理想の年収はパートナーと自分の合計年収で目指す。ライフイベントにあわせ
緩急つけながら働き続けることを目指そう、と白河氏は強調する。
最近話題になったドラマ「逃げ恥」では、専業主婦の経済価値が大きいことと、
無償労働が払えないなら男性もしっかり手伝おうという社会発信がしっかりされた形だ。
日本の「両立」を阻む課題として、パパの家事協力時間が少なすぎること、
長時間労働、ママが一人で頑張らないとと意識してしまっている、
ということがあげられる。
現状では仕事をしていると産み時も難しい。簡単な気持ちでうっかりキャリア形成を中断
してしまうと、1億5000万円以上の損失ともいわれる。(年収300万円以上を回復
できるのは12%)
正規雇用に復帰できる女性の条件として、以下のようなものがあるという。
・ブランクは短く
・派遣や契約でもいいからまず働き始める
・家族の協力のため家事フローを見直す
・専門性をもつ
・働いていた頃の人脈を切らさない
・常に働きたいことを周囲に伝える
女性が我慢したり家族に影響なく働く、というのではなく、年100万円稼ぐのだ、
という意思を元に無償労働を1人で抱えずシェアする。外で有償労働をする。
という形が欠かせない。
スウェーデンでは40年も前にイクメンキャンペーンのポスターが出た。
制度と文化が進む北欧の男性に、「妻が専業主婦になって、あなたが働いてと言われたら
どうしますか?」と質問したところ、
「それは僕が育児する権利を奪うってことですか?」と不思議そうな反応をしたという。
日本にも、男性が「育児したい。それは自分の権利だ!」
という声が当たり前になる日がくることを願うばかりだ。
2017年12月
取材:ウーマンエンパワー賛同企業 事務局 (株)ママハピ
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