ママハピ

テレワーク導入企業の取り組み事例((株)キャリア・マム)

進行中の働き方改革。

今回は、最近よく耳にするようになった【テレワーク】を実際に導入し、活用している企業に話を伺いました。

 

 

 

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用した柔軟な働き方を指し、移動中やコワーキングスペースでの作業を含めた広義な使い方もされますが、今回は完全テレワーク(完全に自宅で作業をし、指定出社日以外はオフィスに出勤しない働き方)を取り上げました。

 

「ウーマンエンパワー賛同企業」事務局の取材において、取り組み企業の事例から少しでも賛同企業の施策の参考になれば幸いです。

 

 

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話を伺ったのは、創業以来20年以上テレワークを活用し、現在従業員の半分ほどがテレワークを実施、さらに約2,000人の主婦テレワーカーを抱えるまさに「テレワークのパイオニア」である(株)キャリア・マムの堤香苗代表取締役社長。

 

 

社名の通り、「女性のキャリアと社会をつなぐ」を企業理念に、10万人にも及ぶ主婦会員ネットワークを駆使したアウトソーシング事業、コンテンツ事業、キャリア支援と多角的な事業展開を行っている。中でも筆頭のアウトソーシング事業は、クライアントより依頼を受け、覆面店舗調査や商品開発のための意見収集、電話取材のライティングの仕事などを10万人の会員の中で業務委託契約を結んでいる2,000人の完全在宅のテレワーカーに発注し、社内スタッフがプロジェクトリーダーとしてメンバー(主婦会員)を管理しているため、生活のプロである主婦目線を活かし、品質・納期ともに保証されるとクライアントからの評価も高い。

 

http://www.c-mam.co.jp/index.php(主婦向け)

http://corp.c-mam.co.jp/ (会社案内)

 

 

お話を伺った場所はオフィス併設の【おしごとカフェ】。電源・Wi-Fiを完備しているのでPCを持ち込み仕事をすることもできる。取材には同社のインターン生が同席し、後ろの席には和歌山から女性の働き方について研究している高校生達が、教師同伴で堤社長と話をする順番を待っていた。同社の働き方が、若い世代にも大きく注目を浴びているのをひしひしと感じながら話を伺った。

 

 

 

 

 

 

Q、テレワークを導入したい企業は多いと思いますが、何からどう手をつければ良いのかわからないというお声をよくいただきます。御社はどのような流れでテレワークを導入されたのでしょうか。

 

 

堤社長:弊社のそもそものスタートが多くの女性(母親)と話をする中で、「小さな子どもがいても、わずかな時間でもまた働きたい。」という意見が多いことがわかり、さまざまな制約のある中で働ける場と仕組みを作ろうと思ったのが設立の発端なので、テレワークにすることが必然だったんです。なので、何かキッカケがあってテレワークを導入したのではなく、働ける場所の提供=テレワークだったので他社とは少し背景が違うかもしれません。

 

 

Q、なるほど…在宅ワーカーを管理するプロジェクトマネージャーやリーダーなどの御社社員の半分もテレワークだと伺いました。具体的にどのような働き方をされているのでしょうか。

 

 

堤社長:弊社ではフルタイム、在宅、外勤、内勤など、スタッフそれぞれの事情に合わせて働き方を選べるように、現在、7段階の働き方を用意しています。

 

 

また、働き方を調整できるようにもしていて、例えば家庭の事情で働き方を変えたい場合は相談のうえ、変更することができます。具体的には、家で介護する必要が出てきて仕事量を減らしたい場合、逆に育児の必要がなくなって仕事量を増やしたいというような場合も双方の合意が取れれば調整する…というように。「業績軸」を求めた時期もありましたが、20年も会社を経営していると、多種多様な「幸せ軸」に合わせることが結果的に全員の幸せに繋がるということが分かってきました。

 

 

Q、素晴らしい取り組みをされているのですね。ちなみに、現在テレワークをされている方はどのような職種なのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

堤社長:弊社の事業モデル上もありますが、制作部などクリエイティブ系の職種が多いです。テレワークの社員が実際に手を動かすこともありますが、基本的には在宅ワーカーの管理を行っています。

 

 

 

Q、失礼な質問ですが、多種多様な働き方を提供される中で、コミュニケーションなどの部分でネックに感じることはないのでしょうか。

 

 

 

堤社長:確かに、レスポンスに時間差があったり、すぐに直接会話ができなかったりと、同じ場所で働く場合に比べてコミュニケーションがとりづらい部分はあるかもしれません。ただ、ゴールの共有がしっかりできていれば、さほど困ることはありません。テレワークを活用する上で断言できるのは、プロセス管理は無理です。例えばテレワークで勤務時間が6時間だとして、誰にも見られない状態でずーっとPCにかじりついてキチンと仕事をするなんて、普通の人は無理でしょう。私だって無理。(笑)なので、マイルストーンをうまく管理して、最終的なゴールの共有・共感をしっかりとする。本人が仕事を行う上でプロセスを見える化する事が大切です。

 

社員と会員(在宅ワーカー)のコミュニケーションについては、WEB上にチームのメンバーだけが参加できるワークスペースを設けています。会議はスカイプやテレビ会議など、その場にいながら顔を見られるものを採用し、遠方にいながらでもコミュニケーションが円滑にできるようには心がけています。

 

 

Q、ゴールの共有というのは、具体的にどのようなものですか?

 

 

堤社長:主観ではなく客観的に見て誰がみても同じようなイメージが湧くように心がけています。

 

例えば、クライアントの新商品開発を受注したとして、その商品が【女性向けのスカート】だけだと人によって全然違うものを想像しますよね。

 

なので、【20代、未婚女性、婚活用に使えるシックなデザイン、素材はコットン、イメージは…】

 

という風に誰が作ってもブレないところまで落とし込んでいます。口頭だと伝言ゲームのようにどんどんずれていってしまうので、新しい意見や要望が出た時は随時システムで共有しています。

 

 

Q、実際に同じスペースで空気を共有しないからこそ、細かい情報まで共有しズレが出ないよう、出たとしても最小で抑えられるようにしているのですね。ありがとうございました。

 

 

 

【まとめ】

 

・テレワーク導入のポイントは、≪プロセス管理は無理≫と割り切り、≪マイルストーンの設定≫≪ゴールの共有≫にスポットを当てること

 

・定期的に顔を見える場を作り、些細な誤解が生じない信頼関係を作ること